• Department of Microbiology, Faculty of Medicine, Shimane Univsresity

研究紹介 新型コロナウイルスとイオン照射

この投稿では、微生物学講座の研究について紹介していきます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染は、日本では主に夏と冬に流行します。

感染の拡大を防ぐには、ワクチン接種に加え、手指衛生の徹底や環境対策が重要です。その環境対策の一つとして、空気清浄機が注目されています。

現在、日本で市販されている空気清浄機の多くには、ウイルスを不活性化するイオン照射機が搭載されています。本研究では、空気清浄機メーカーのSHARPと共同で、イオン照射機の効果を検証しました。

その結果、低湿度から高湿度の条件下で、イオン照射によりSARS-CoV-2が不活性化することを確認しました。さらに、唾液を含むサンプルでも同様の効果が見られました。実際の空気清浄機では、イオンに加えてオゾンの発生やHEPAフィルターの使用により、さらに強力な抗ウイルス効果が期待されます。長時間の運転によって、空気中のウイルスをある程度不活性化できるほか、物に付着したウイルスにも効果を発揮します。

SARS-CoV-2は2020年の発生以降、次々と新たな変異株が出現しています。現在、主に流行しているのはOmicron株で、その感染者数は従来株の10倍以上に達しています。特に夏に大規模な流行が確認されています。Omicron株は、他の株に比べて高湿度下でも感染力を維持し、唾液が存在する環境でも感染力を保持していました。この特性が、日本の夏における感染拡大の一因になっていると考えられます。

本研究の成果は、Viruses誌に掲載されており、誰でも閲覧できます。

またこの研究は、大学院生のFatimahさん(インドネシア出身)と、小野村特任助教(現:自治医科大)を中心に行われました。太字、下線は当講座のメンバーです。

Wadi AFAAOnomura D, Funamori H, Khatun MMOkada SIizasa HYoshiyama H*. Effect of strain differences, humidity changes, and saliva contamination on inactivation of SARS-CoV-2 by ions. Viruses 16(4):520 (2024) https://doi.org/10.3390/v16040520 (IF: 3.8) (*Corresponding author)

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