• Department of Microbiology, Faculty of Medicine, Shimane Univsresity

研究紹介 ウイルスmiRNA発現を抑制する抗EBウイルス剤の同定2

EBウイルス(EBV)は、一部の感染者にリンパ腫(バーキットリンパ腫、ホジキン病など)や上皮細胞腫(胃がん、上咽頭がん)を発症します。また、慢性活動性EBV感染症も引き起こします。これらの疾患では、EBVは細胞増殖に応じてウイルスを複製します(潜伏感染)。実は、潜伏感染に有効な抗ウイルス薬というのは、いまだ市販されていません。

そこで、以前の研究においてウイルス由来のマイクロRNA (BART miRNA) の発現を抑える薬の発見を紹介しました。今回の研究は、前回の研究の続きであり、BART miRNAのプロモーター活性の抑制剤を探索し、活性抑制剤としてダサチニブという薬を同定しました。

この薬は、慢性骨髄性白血病の治療薬として知られており、固形がんへの適応も検討されています。Src family kinase (SFK) というタンパク質のリン酸化を抑える効果があります。興味深いことに、ダサチニブを含むSFK阻害剤は、BART miRNAの発現を抑制し、低濃度でウイルス感染細胞の細胞死を誘導しました。前回のボリノスタットと大きく異なるのは、この薬は、ウイルスの溶解感染という現象を伴わないことです。溶解感染は細胞死を誘導するのですが、この反応が不完全であると、遺伝子変異を誘発することがあり問題となっていました。

ダサチニブは、世界初のEBVの潜伏感染と溶解感染を抑制する医薬品でした。このような薬が存在するということは、この2つの感染様式の制御機構は、思ったよりも複雑であることを示唆しています。

本研究の成果は、 Cancers誌に掲載されています。

この研究は、大学院生のLiu Yuxinさん(中国出身:現 ピッツバーグ大ポスドク)を中心に行われました。太字、下線は当講座のメンバーです。

Liu Y, Tmurgan Z, Wai AP, Akter M, Wadi AFAA, Mizukami Y, Wada M, Okada S, Niino D, Murata T, Iizasa H*, Yoshiyama H*. SFK inhibition suppresses EBV-encoded BART miRNAs and induces apoptosis in EBV-positive gastric epithelial cells. Cancers 18(7):1082(2026) https://doi.org/10.3390/cancers18071082  (IF: 4.4) (*Corresponding author)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です